取組企業へのインタビュー
チームワークが重要な仕事だからこそ、一人ひとりの健康管理を徹底し、「働きやすい職場」の実現と「安全・安心・良質な仕事」を提供

新潟市東区に本社を構える株式会社大廣工業。「健康事業所宣言」を行い、その取り組みが評価され、「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」、「にいがた健康経営推進企業」、「新潟市健康経営認定制度(ゴールドクラス)」などの認定を受け、「令和5年度新潟市働きやすい職場づくり推進賞 新潟経済同友会特別表彰」にも選ばれました。
その取り組みの経緯や想いについて、代表取締役の高橋延之(たかはし・のぶゆき)さんにお話を伺いました。
従業員の健康は会社の責任。全員が人間ドックを受診
働きやすい職場づくりのために取り組んでいることを教えてください。
働き方という点では、効率的な作業の推進と、週休2日を確実に取ってワークライフバランスを充実させられるように取り組んでいます。
企業にとっては従業員の健康が一番大事な財産ですので、まず、健康管理を各自で徹底してもらいたいという方針で、人間ドックを従業員全員に受けてもらっています。また、オプション検査もある程度の金額までは会社で負担しています。病気であれば早期発見・早期治療をしてもらえる体制を整えました。
それにプラスして運動習慣をつけていかないといけないですよね。難しいとは思いますが、健康意識を高めるため、新潟市で主催する『ウオーキングチャレンジ』にも参加してもらうように勧めています。人間ドックで自分の体調を数字で見る。それにプラスして運動習慣をつけてもらうという取り組みになります。

私自身が以前に所属していた事業所で、ある従業員が人間ドックを受けたところ、胃がんが見つかりました。すぐに再検査をして手術。早期だからよかったのですが、人間ドックを受けなければ、発見が遅れていたかもしれません。全額会社でまかなっているので費用はかかっていますが、従業員が健康であることは会社の業績にも繋がりますし、“人財”でもありますので、会社が積極的に関与すべきことと考えています。
チームワーク発揮のため、健康管理を大切に
働きやすい職場づくりの必要性はどのような時に感じましたか?
私たちが生業とする「舗装工事」は、チームでやっていく仕事です。現場によってメンバーを構成し、それぞれが自身の担当した役割を果たすことにより舗装を完成させます。そのうえでその日に予定した施工量を完成させることはもちろん、出来栄えのレベルも一定以上にしなくてはいけません。
そのような中で、健康を損なって一人が欠けることにより、一日の施工量に達しなかったり、思うような仕上がりにならなかったりというのが一番良くありません。
会社のホームページにも掲げている「安全、安心、良質な仕事」を提供し、地域社会への貢献を実現するためには、仕上がりの質でお客さまに喜んでもらう。そういった仕事をしなくてはいけないですし、会社としても一番の生命線でもあるので、健康管理は非常に大切です。

最近、夏場の気温がものすごく高いですよね。だから、熱中症対策には本当に力を入れています。水分、塩分の摂取、あとはWGBT(熱さ指数:熱中症のリスクを示す指標)を確認しながら現場の管理を徹底しています。
舗装工事自体、160度近くあるアスファルト合材を扱いますので、慣れていたとしても体調を崩す人はすぐに出てきます。個人に健康管理を任せていると無理をしてしまうので、ちょっとでも顔色が悪かったり、おかしいなと思ったら、全員で声をかけあっています。
コツコツと積み重ねてきた働き方改革
働きやすい職場づくりに取り組んだきっかけを教えてください。
業界的に高年齢化が進んでいることがありました。グループ会社の中には、平均60歳に近い営業所もあります。若い人がなかなか入ってこない業種なので、健康不安が顕在化して仕事の生産性が下がってしまうことが懸念事項となっていました。
当社では平均40〜50歳。一番上で52、3歳。下では30代で、業界としては若い方ではありますが、もう少し働ける人が欲しい。ただ、求人をしても応募数が少ないので、会社側から働きやすく安心・安全な職場環境を整えることが必要でした。
労働時間の短縮については、働き方改革以前から実践していて、最初は親会社が将来を見据えて、先んじて時間外労働を短くしていくなどの流れを作り、私たちもそれにならって段階的に進めてきました。
以前はお客さまから「土曜日に施工して欲しい」という依頼があれば、仕事をもらう立場としてやらざるを得ない状況でした。ただ、いきなり「土日はできません」では、お客さまも困惑しますし、仕事がなくなってしまう可能性もありますので、舗装の材料を出荷する合材プラントが土日の出荷を控える業界的な流れを背景に、当社としてお客さまに土日休業の会社方針に理解を求めることから始めていきました。今ではコツコツと取り組んできた結果、お客さまにも土日休業が当たり前のこととして理解していただけるようになったと感じています。
私たちの業種では求人活動をしても応募数は多くありません。少ない原因の一つに、建設業には職場環境として、身体の疲労が大きい肉体労働のイメージがあるからだと思います。ただ、当社の労働時間について言えば、基本となっている仕事がガス・水道工事の舗装復旧工事で、警察から道路使用許可をいただいた条件の時間内に終わらせなければいけませんので、残業はそれほどありません。

実際の働き方とイメージのギャップを埋めていくために、今回の『新潟市働きやすい職場づくり推進企業表彰制度』や『新潟市健康経営認定制度』や『健康経営優良法人認定制度』等の社外認定を積極的に申請しています。働きやすい職場ということで、少しでも目を向けてもらえればと考えています。
健康経営の取り組みは、コミュニケーションにも繋がる
働きやすい職場づくりのための取り組みについて、社内の反応はいかがでしたか?
中でも、健康管理に対する取り組みについては、ポスターを掲示したり、朝礼時に伝達しているので、取組自体は皆理解してもらっていると思います。
『ウオーキングチャレンジ』についても、最初は仕方なく参加しているという感じだったのですが、徐々に自ら参加するという雰囲気になってきていると思います。それに、会社全体で取り組むことで、皆のコミュニケーション活性化や促進、また健康に対する意識の向上につながっていると感じています。

健康のありがたみというのは、病気になってみないと分からないところもありますよね。私自身、大きい病気の経験者なのでそう感じます。一つは30代の頃に心筋梗塞を、その後は脳梗塞になりました。よく生きて戻って来れたなと思います。家族にも心配をかけたり、会社にも迷惑をかけてしまいました。そのため、皆には病気になってからではなく、ならないような健康管理の大切さをわかって欲しいですね。
幸せに繋がる取り組みと魅力発信を
働きやすい職場づくりのための取り組みについて、今後はどのような展望で取り組まれていきますか?
これまでの取り組みをここで終わりにするのではなくて、もっとどんどん進めていき、従業員、その家族の幸せに繋がることを目指しています。
皆が健康で活き活きと働けるような職場環境、そういうものをこれからも作っていきたいと思っております。
建設業も昔から考えると働き方は変化していますが、もっと魅力を発信して、興味を持ってもらえるように取り組んでいかなければいけないと思います。なくなってはいけない業種なので、周りからも社員からも魅力ある会社であり続けられるよう、今後も前進していきたいと考えています。
企業情報
株式会社大廣工業
新潟市東区に本社を構える建設会社。1999年に福田組のグループ会社として設立。道路舗装工事を柱として、生活に直結した工事を行う。従業員数は12名(2024年12月時点)。